昔、こんなことがありました。
当時中学1年生の私。
本が好きでとにかくひたすら本を読んでいました。
昼休みも、登下校時も、家に帰ってからも。
両親は勉学よりも家の手伝いを重視する人でした。
夕食の手伝いの合間を見つけては本を読み、ともすれば中々動かない私。
母親としては頭を痛めてたようで。
家庭訪問の際に担当教師にこんなことを言ったんです。
「本ばかり読んでいて家の手伝いをちゃんとしない。どうしたらいいですか?」
すると担当教師はこう言ったんですよね。
「沢山本を読むのは大いに結構。家の手伝いよりも本を読む時間を優先させてあげてください」
母親はカンカン。
その時私は…まぁそういうものかと思ってました。
家の手伝いの方が大事だよね~みたいな。
結果、読書(子供の夢中)よりも親の事情(家の手伝い)が優先された1つの出来事です。
今、子育て真っ最中のパパママ。
子供が夢中になってることと親の事情、どちらを優先させますか?
「なんでもかんでも知育」第3弾は、そんなお話です。
- 子供の夢中を妨げない意味
- 親の事情を優先する意味
- 子供の夢中と親の事情、比重をどちらに置くべきか
子供の夢中を妨げない意味
それはずばり集中力が養われることです。そして忍耐力。
パパママからするとどんなくだらないようなことであっても、子供にとってはどれも大切な勉強の場。
そこから学ぶのは集中力や忍耐力だけではありません。
何に夢中になっているかによりけりですが、手先の器用さ、組み立て方、立体の形、色使い…大人が想像もつかないくらい一度に多くのことを学んでいます。
学生になったら言われますよね。
「復習が大事」って。
子供は夢中になって何度も繰り返すことで、それをひたすらやっているのです。
学生になってからの勉強の復習と子供の夢中とでは、子供の夢中の方が復習しなければならない情報量が圧倒的に多いもの。
けれど子供はそれが楽しくてたまらなくてひたすらやるのです。
ウチの3歳娘が今、夢中になっていることの1つに小魚の解体があります。
夏に食べさせて以来、娘が気に入っている「やわらか甘酢いりこ」という商品があるのですが、いつからかその小魚を解体しながら食べるようになりました。
最初は頭と胴体を分けて食べていたのが細かくなり、今は中の骨を綺麗に取り出して食べたりしています。
決して綺麗な食べ方とは言えません。けれど家では黙認。
娘が集中して解体に取り組んでいるからです。
小魚には申し訳ないけれど、決して娘は命を粗末にしている訳ではありません。
彼女は確実に何度も繰り返し小魚の身体の構造を調べ、不思議に思ったことは私や主人に聞き、そこから多くの情報を記憶しているからです。
これを大人目線からくだらないことと見るか否か。
子供の夢中を妨げないためには、子供の夢中に何の意味があるのか、子供はそこから何を吸収しようとしているのかを想像する力がパパママには必要なのかもしれません。
親の事情を優先する意味
親の事情を優先する意味…これはパパママであればいくらでも簡単に思いつきますよね。
時間的制約、衛生上の問題、危険回避、社会常識など色々挙げられるかと思います。
それはどれもとても重要なことです。
どれ1つとして不要なことはありません。
全て子供のことを思えばこそ、なんですから。
けれど。
親の事情と子供の夢中、互いに少しずつ譲歩することは可能だと思いませんか?
例えば、時間的制約。
子供が夢中になるものを始める前に、「〇〇になったら終りにしようね」と予め声をかけておく。
(時間に余裕を持たせるために早めのタイミングを設定しておく必要があります)
例えば、衛生上の問題や危険回避。
ウチの3歳娘であれば水たまり遊びが大好き。
ですが普段は決してさせません。
汚れるし。
けれど1年に1回か2回、がっつり遊ばせる時があります。
多少雨に濡れても風邪をひかないような暖かい日。
汚れても構わない服を着せます。
時間にはたっぷり余裕を持たせて、危険なことは予めしないよう約束させます(仮に約束を忘れてしまっても、その時点で再度約束させましょう。予めしておくのとしないのとではかなり抑止力が違ってきます)。
先にお風呂の準備をしておいて、終わったら即風呂に入れます。
例えば、社会常識。
上記した小魚の解体ですが、娘には外では決してやらないよう約束させています。
「それを見て不快に思う人もいるから、外ではしないこと」
先に約束しておけば、外で娘がやろうとしても少し注意するだけですぐに止めてくれます。
親の対応一つで時間的制約、衛生上の問題、危険回避、社会常識は上手くクリアできるものだと思いませんか?
子供の夢中と親の事情、比重をどちらに置くべきか
子供が夢中になることを我慢すべきではなく、パパママが親の事情を押し通すべきではなく、互いに譲歩することで子供の夢中を妨げず親の事情を取り入れることが可能です。
そうすれば、子供の集中力や忍耐力、その他の可能性を大いに伸ばしてあげることができ、親の事情も考慮しているのでパパママの身体的、精神的負担も減ります。
しかし。大事なことが2つ。
ひとつめ。
子供の夢中には制約が何もありません。
譲歩事項はパパママが決めておきましょう。
けれど決してパパママにばかり有利にならないように。
(大人の方が上手くスケジュール調整ができるのですから、できれば子供に有利なようにして少しだけ譲歩してもらう、というやり方が一番スムーズにいくかもしれません)
ふたつめ。
譲歩事項は予め子供に伝えておくこと。
そしてパパママはしっかり説明し子供が納得した上で約束してもらいます。
子供は夢中になってしまい、止める間際になって「嫌だ!」と言うかもしれませんが、予め約束しておくのとしておかないのとでは大きく違います。
繰り返し説得し、時には上手く別のものに好奇心を移させましょう。
予め約束しておけば、万が一「嫌だ!」攻撃にあっても、この説得も好奇心を移させることも比較的上手く運ぶようになります。
いかがでしたでしょうか。
知育は特別な何かが必要な訳ではありません。
生活の中の出来事をいかにして知育に発展させるかをパパママが考え、積極的に実践し、工夫し、見守ることこそが、その子供に一番合った素晴らしい知育になるのです。
時には少し子供目線で物事を見てみて下さい。
今まで何気なく見てきた子供の言動に実は大きな意味があったことを驚く筈です。