今日、これを読みました。
読み終えて、「?」と思いネットで他の方のレビューを検索。
そして再読。
それでもやはり「?」の感情から抜け出せません。
絵本には珍しく後味の悪さを感じさせる絵本。
不安定で暗く重い。
挿絵はこんなに愛らしいのに。
楽しくて嬉しいことと悲しくて嫌なことが必ずセットになって描かれてる。
作者である二宮由紀子先生は阪神大震災の被災者だそう。
だからこんなに不安定で暗くて重たいの?
いやいや被災者の方だって強く明るく生きていらっしゃる方は沢山いる。
苦しみや負の感情を表面に出さず、ひたすら努力してらっしゃる方も沢山。
でもこの絵本はその苦しみや負の感情をあえて表に出したような印象を受けます。
例えば音楽でも絵でも、その作者の背景を土台として観るのは違う気がする。
幼少期辛い経験をしたり障害を持っていたり、そういったことは音楽や絵の素晴らしさには関係ない。
素晴らしい音楽や絵というのは心に直接響くものであり情報に左右されないもの。
ヒットした音楽だとか何百万円する絵だとかそういう肩書きは人の感性を鈍くさせます。
けれどこの絵本に関しては。
この作者の背景を見ないと納得も解釈もできないようになってる気がする。
阪神大震災で被災されたことを知り、だからこういう絵本ができたのかと理解することはできるけれど、この絵本だけを読んでその伝えようとしていることを知ることはかなり難しいと思います。
まして、小学生低学年部の課題図書でしょ?
難しすぎます…。
ネットで検索したレビューは正に賛否両論。
面白く感じた方もいらっしゃれば、よく分からない、また作者の背景を知って理解できたという方…さまざまです。
親子で読んで、いろんな話をするきっかけとしてこの絵本が課題図書に選ばれたのかな。
でも小学校低学年の子だけで読んだらこれで読書感想文なんて書くの大変だろうな。
独身の頃から絵本が大好きでよく読んでいる私。
正直あんまりこういう絵本には出会ったことがありません。
けれども今回ここでこの絵本をご紹介させてもらおうと思ったのは、こんなタイプの絵本もあると伝えたかったから。
一見すると読みづらく、理解に困るような絵本。
見た目の可愛さで娘と読もうと思って選んだ絵本だけれど、読んでとても扱いに困った絵本。
また読みたいとは思えないけれども、印象に深く残った絵本。
小学校中学年や高学年の絵本はともかく、低学年向けの絵本はまだ優しく平和な絵本の方が圧倒的に多いです。
そんな中で一冊だけ色彩の異なるようなこの絵本。
機会があれば一度読んでみて下さい。
心をざわつかせるかもしれないけれど、「絵本ってなんだろう?」と絵本そのものについて、その存在意義や役割、重要性について…色々考えさせるような絵本です。