私を中心にして娘と大切なものがぐるぐる回ってます。

私の大事な娘、本など好きなものや気になるものについて書き綴ってます。

宮沢賢治という人が面白くなってきたので読んでみました。「宮沢賢治 おれはひとりの修羅なのだ」

育児家事の合間に「宮沢賢治 おれはひとりの修羅なのだ」を黙々と読んでます。

 

宮沢賢治: おれはひとりの修羅なのだ (日本のこころ)

宮沢賢治: おれはひとりの修羅なのだ (日本のこころ)

 

本当は宮沢賢治の生涯を描いた小説を読みたかったのだけれど。

図書館にございませんでした(田舎図書館の悲しい性かな)

 

先日、宮沢賢治の父を描いた「銀河鉄道の父」を読み、突如として宮沢賢治ブームに飲み込まれてしまった私。

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私がドハマりしたのは見てのとおりでゴザイマス。

 

宮沢賢治という人に魅了されてしまった私は、彼の生涯をもっと深く知りたくなってしまって…

この「宮沢賢治 おれはひとりの修羅なのだ」を借りて来たという訳。

 

いや~一人の人生を色々な目線から読むのって楽しいですよね。

元々、自伝や偉人伝みたいなものが大好きな私。

一人にハマるとその人に関するさまざまな書籍を読み漁るのは昔からの癖です。

 

で、今回の「宮沢賢治 おれはひとりの修羅なのだ」

彼の人生とともに美しい岩手の風景やいくつもの書簡が写真として収められてます。

まぁ~! 沢山遺されているんですよね。

小学校時代の成績表や文集みたいなのまで。

明治生まれの人なのにこんなに残ってるもんなの?!

と一瞬思ったけど、そういえば宮沢賢治の父・政次郎は高額納税者番付に載ったほどのお金持ちのおうち。

ああ、なるほどね…と無粋なことを考えてしまいます(汗)

けれど。

後人にとってはありがたい多くの資料。

私も端っこながらその一人として、宮沢賢治について浅い知識しか持ち合わせてないけれど楽しむことができます。

(成績表、全部『甲』とかすごくない?! とかね)

 

さて、「銀河鉄道の父」で私の宮沢賢治に対するイメージは

「相当のヘタレ男で、ある日物書きの神様が降りてきて急に凄いのが書けるようになった人」

というものでありました。

でも「宮沢賢治 おれはひとりの修羅なのだ」を読み進めていくうちに、それが大きな誤解であったことに私は気付いていきます。

 

まず「ヘタレ男」の件。

これは「銀河鉄道の父」が父・政次郎目線の物語であったからだったかもしれないということ。

父・政次郎はいわゆる人格者で、宮沢賢治は強い憧れを抱いていました。

そんな父から見た宮沢賢治は、長男でありながらいつまで経っても頼りなく、現実になり得ないような夢を語り、資産家の息子らしく気安く金の無心をし、体が弱く絶えず親を心配させるような子供でした。

父は父という偏った愛のフィルターから宮沢賢治を見ていた訳ですから、不甲斐なく守るべき存在としてずっと宮沢賢治という人を捉えていたということなのかもしれません。

宮沢賢治その人はその時代の長男には珍しく右往左往とした人生を送ってきたかもしれないけれど、決してだらしのない人間ではなかったようです。

 

父という色眼鏡で見た「銀河鉄道の父」と、遺された資料を基に事実のみが記された「宮沢賢治 俺はひとりの修羅なのだ」を比較しながら読み進めていくと、一人の人間を同時に別方向から眺めているようでとても面白いです。

 

そして「神様が降りてきて急に凄いのが書けるようになった人」の件についても然り。「宮沢賢治 俺はひとりの修羅なのだ」の膨大な書簡とともに彼の人生を見ていくと、大きな閃きはあったにせよ、そこへ辿りつくまでの素地は十分にあったのだと知ることができます。

勿論、「銀河鉄道の父」でも昔から短歌を書いていた話や、幼い頃、妹トシに自分が作った話を読み聞かせていた場面、学生時代に同人誌を作っていたことなどが語られています。

けれど、そのどれもが筆遊びのようであり、また父から見れば妹トシの方が文才があったというレベル。

 

それなら書くことが大好きな私とそう変わらないじゃない!と私はちょっと思っちゃった訳です。

だから

なんでそんな人が凄いの書けるようになったのよ!

そんなの物書きの神様が急に降りてきましたみたいな感じでしょ!

って私の中でなったんですよね。

しかもヘタレだし…って。

(何度もヘタレって言って宮沢賢治ファンの人本当にゴメンナサイ。今はそう思ってないので許して)

 

けれど。

作品を生み出すことに大きく苦悩はしないものの、彼は童話や詩を書き始めるまで人生においてひたすら苦悩します。

進学、鉱物、農業、妹トシの存在、父との軋轢、信仰…。

その苦悩の量は、ごく一般的なものかもしれません。

誰しもが背負う程度のもの。

彼は資産家の息子であったのですから、もしかすると人より軽かったかもしれません。

けれど彼は苦悩する訳です。

ひたすら。

そのいくつもの支流が本流に流れて一本の川となった時。

彼の中に閃きが舞い降りた。

宮沢賢治 俺はひとりの修羅なのだ」を読んでいると、彼の素晴らしい作品の数々は現れるべくして現れた、そんな風に思えてくるんです。

 

この本は、本当に宮沢賢治の人生に関わってきたすべてのものについて語られていますので、宮沢賢治ビギナーな私でも興味深く読むことができました。

彼の好きだった石や星、音楽、映画についての章はまだ読んでいないのでこれから楽しんでいきたいと思います。

 

 

宮沢賢治: おれはひとりの修羅なのだ (日本のこころ)

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銀河鉄道の父 第158回直木賞受賞

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